SSブログ

観察力とはね…… [架鉄ウォッチ]

久しぶりにツボに入った架鉄車両を見たので紹介します。
小野川電鉄の300形。特に中間車の床下がたまりません。この絵を見た瞬間文章を読まなくても「あ、これは中間Tを切り離した2連の運用も想定してるな、ってことが伝わってきました。
イラストに含まれる情報量というのは文章とは比較にならないほど大きいものです。床下機器なんて丸と四角を適当に描いておけばいいじゃん的な架鉄車両(しかもそんなところが車両系架鉄とか名乗ってるともう…ね)が多い中、ちゃんとデザインされた架鉄車両を見ると本当に嬉しくなります。
さらに説明文を読むと、スタイリングに対する理由がちゃんと描かれています。理由があるからこの形になったということが明確に提示されているスタイリングだから、実に美しいし納得がいきます。なるほどこれは70年代の中小私鉄が輝いた最後の時期に登場した電車だな、ということがデザインから伝わってくるわけです。作者の観察力に惚れ惚れしてしまいます。

架鉄の車両を作るときに大事なものは、観察力と分析力です。なぜこのような形になったのかという観察力は、こういう状況ならこういう形になるという分析力をはぐくみます。空想世界だからいい加減でいいや、というのはもちろんありですが、人に何かを伝えようとするとき「ただなんとなく」ってのは伝わらないんですね。
小野川電鉄の300形は、中間車には自車の電源をまかなう装備しかない。固定編成ならエアや補助電源といった機器は比較的スペースに余裕のあるTに乗せるのが「定石」。その定石を破ったからには何か理由がある。それが「閑散期はTを切り離す」なわけです。理由があり、それが形になっていることの素晴らしさがわかってもらえたでしょうか。

もちろん何の考えもなしにそういった絵を(どこからかの写真をまねて)描いたという可能性もあるでしょう。しかしそれは文章が否定しています。イラストの表現と文章が矛盾していない。つまり作者はちゃんと知識として消化した上で形を作っているわけです。
こういう架鉄車両こそ俺は「グッドデザイン」だと思っています。



共通テーマ:趣味・カルチャー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。